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【なろう系良作】チートイーター 異世界召喚尽く滅ぶべし/なろう作品達よ、これがプロの力だ。

今回はバンブー・コミックスから出版されてる

チートイーター
異世界召喚尽く滅ぶべし


をレビューしていきます。

チートイーター(1)

タイトルから他とは違うオーラを感じます。

少し厨二っぽいですが
シンプルにカッコいいです。

この作品は「なろう」で掲載されたものを
コミカライズしたものではなく
プロで活躍されている漫画家さんが
異世界転生をテーマに描いた作品です。

「なろう系」として紹介していいのか
迷いましたがテーマは間違いなく
“なろう系のチート付き異世界転生”なので
広義的に捉えて「なろう系」として
紹介させていただきます。

それでは早速中身を見ていきます。

「おお…異世界召喚者よ
我が呼び声に答えた貴方に
特別な能力を授けましょう」


と、女神様っぽい人が言っています。

能力を渡す条件は「滅び」とやらから
この世界を救うことだそうです。

「それはありふれた契約
 召喚者によって女神の願いは叶う…
 はずだった」

と、いつもの転生の流れから
雰囲気が変わり…

チート能力を持った転生者達は
その力に溺れて女神との契約を
守らなくなってしまった。


というところでタイトルです。

すごいですね。
冒頭から今までとレベルが違います。

短い冒頭ながらも「起・承・転・結」が
綺麗にまとまっていて
ここがどういう世界なのかというのも
既にある程度伝わっています。

「プロの漫画家が描いてるからと
なにも考えずにおだてるようなレビューに
ならないように」


と、思っていたのですが
「これがプロの力か…」
と感じざるを得ません。

でも今までも冒頭はよかったけど…
という作品はたくさんあったので
続きを見ていきます。

時が進んで5年後です。

この町では冒頭で召喚された召喚者が
領主としてブイブイいわせてます。

どのくらいブイブイしているかというと

挨拶代わりに変な眼鏡で能力を見ながら
「マシな奴隷(クズ)はいるか?」
と言うくらいにはブイブイしてます。

そして死んでいるであろう奴隷を見つけ
「なんだコレは?」と足蹴にします。

この死体の片づけを命じたところで…

本作の主人公の登場です。
召喚者の奴隷ですね。

こんな奴隷の1人を
なぜ王が呼んでいるのかは謎です。

そして先ほどの死体を
主人公が片づけることに。


奴隷の中でも立場は弱そうですね。

そしたら運んでる最中に死体が
水を求めて生き返ったので…

普通に水をあげます。

ご飯はまともにもらえてなさそうでしたが
水は割と余裕があるんですかね?

そしてここが
「異世界召喚者が支配する工匠都市」
ということを説明し…

自分の目的がこの街に攫われた
姉を取り戻すことだと伝えます。

待って。

流れが完璧過ぎてただコマを並べて
あらすじを紹介してるだけになってる。


ツッコむところが召喚者の
変な眼鏡しかありませんでした。

設定の説明がうまいですね。

他のなろうではこういう設定の説明を
主人公の読者に向けたモノローグで
済ませるような作品も少なくないですが…

この世界で奴隷をやっている主人公が
あまり事情を知らない謎の子供に
教えるという形で読者にも説明してます。

そしてついでに主人公の目的も
明確にするという…


よくある流れといえばそうですが
ここまで違和感なく仕上げられるのは
さすがベテランのプロ漫画家という他ありませんね。

作品によっては自己紹介がてらに
ここでこの子供の正体を明かすものも
多そうですが、謎のままにして次にいきます

そしてなんやかんやで
召喚者の仕事場の位置を突き止めた主人公。


バレないように視察に向かいます。

暑そう

という感想は置いといて
真ん中に溶岩のようなものがあります。

そこに引きずられていく1人の女性。

主人公が「まさか…」と思った通り
この溶岩に投げ入れられ…

召喚者のスキルで魔剣になりました。

人間を素材にしてやがった…!
と魔剣の正体に気付いたところで

居場所がバレて捕まってしまいます。

捕まったついでに

「自分のために人を
 ギセイにしてるだけじゃねぇか!」


と、主人公らしいセリフを叫ぶも

「神に疑問を抱くなぞおこがましいぞ」

と、いかにも悪役らしいセリフで
打ち返されます。

こういうシーンも
よく見る流れではありますが

「主人公と悪役の明確な対立」

これはやはり大事ですね。

これを省いてさっさと主人公が
悪役を倒してしまう作品もありますが
やはり主人公の考えと悪役の考えを
一度ぶつけてからバトルシーンに入る方が
主人公に感情移入もしやすく
この後の展開に期待ができます。

という所で謎のままだった子供が現れます。

奴隷達に好き勝手言われイラついた召喚者は…

「こいつから逃げられたら見逃してやる」

と言いながら新たな魔剣を取り出します。
(魔剣ってなんだっけ?)

逃げ惑う奴隷達を魔剣で
ハチの巣にしていきます。

ちなみにここの奴隷達は
完全にとばっちりです。

そして
「異世界召喚は最高だ…!」
と気分がよくなっているところですが

「オレはこの世界を
 終わらせるために喚ばれた。」


と、まだ逆らい続ける謎の子供に
怒りを隠しきれません。

遊びは終わりだということで
最新型の「魔剣
の登場です。

このエグイ体格さで
容赦なく主人公と謎の子供を狙い…

ワンパンで吹き飛びます。

そして勢いそのままに
この子の名前はカイナ、使命は召喚者狩り

異世界召喚者達を倒す為
女神に喚ばれた最後の召喚者


だということが明らかに。

「異世界召喚、尽く滅ぶべし」

と作品タイトルを回収し

「召喚者VS召喚者狩り 開戦」

というところで一話終了です。

いや、最高か??

圧巻の一言ですね。

ここ最近なろう作品を多く読んでいたため
漫画を読む時のワクワクした気持ちを
忘れかけていましたがこの作品で
また「漫画の面白さ」を実感しました。

「これがプロだ」

と、圧倒的な実力でその辺のなろう作品を
吹き飛ばす構図は漫画のままですね。

でもこのままではあらすじ紹介で
終わってしまうので個人的に特にいいなと
思った部分と気になった部分を
いくつかあげていきます。


2話以降の内容も含まれるので
「今の時点でこの作品が気になる!」
という方はご注意ください。

まずいいと感じた部分から。

本作の主人公はジルとカイナの2人ですが
2人とも目標が明確なんですよね。

ジルは「攫われたお姉ちゃんを助ける」
カイナは「召喚者を滅ぼす」

シンプルながらも明確な目標があって
そこに向かって突き進んでいくため
見ていてわかりやすいですし
ストーリーの軸がブレません。

「プロの商業作品でこんな当たり前のことを
 言っていいのか…?」


とも思いましたが、いつも紹介している
なろう系作品基準で話してますので
その点はご了承ください。

次はカイナの能力的な部分です。

詳細は割愛しますが
小難しい能力ではなく純粋なフィジカルで
敵対するチート能力を圧倒していきます。

敵、味方共に色々な能力が出てきますが
「最強なのが主人公
純粋なパワー」
というのは個人的には好きです。

そしてこのカイナの立ち位置ですね。

上でも言った通り、現時点では
おそらくカイナが作中最強です。

ただカイナは
「自分の意思で異世界に介入しない」
という決まりを自分の中に設けています。

それは

「自分が勝手に異世界に手を出したら
 どんな結果であれそれは侵略だ」


と、この世界を乱している召喚者を倒す
という目的であっても侵略し返してるだけで
根本でやってることは同じになってしまうからとのこと。

少し無理やり感があるような気もしますが

「この世界の事はこの世界の人が決める」

という信念のもと、協力者であるジルが
戦うと決めた者と戦うとしています。

つまり

「圧倒的なパワーで
 適当に人を助けてチヤホヤされる~


みたいなことはないってことです。

だからどちらかというと本作の
メインの主人公はジルの方ですね。

ジルで敵の召喚者やカイナと比べると
力不足で頼りないのですが
カイナの力も借りつつ自分でも戦う所は戦い
着実に成長していきます。

ここで1つその辺の最強の召喚獣を
従えちゃってるテイマー系の作品と
重ねてみましょうか。

・主人公自体はそこまで強いわけではない
・でも主人公が動かせる力は作中最強クラス
・実は割とハーレムよりな構成


と、こう書くとなろうに蔓延る
テイマーものと変わらないように見えますね

でも

主人公とそれに従う者が
明確な意思と信念と目的がある。


主人公も自分の力で戦い
確実に成長していく。


細かい部分をあげたら他にも違いは
たくさんありますが、少なくとも
この2点があるだけでここまで
作品の質に差が出るんですね。

最後のいいと思った点ですが…

えっっなお姉さんが結構出てきます。

上でも軽く言いましたが
カイナが女性ということもあり
ジルの回りは女性が増えていきます。

そしてその中にはお色気担当もいたりと
結構そっちの描写に力が入っています。

「合法的にセクハラするために
 カイナを女性にしたのでは?」


と思うようなシーンもあったりします。

戦闘シーンでも割と描かれたりするので
そこは賛否あると思いますが
戦闘の進行に影響を与えるほどではないので
うまく取り入れてるなと感じました。

そして次に気になった部分ですね。

ここまでの作品に

「ダメなところを指摘する」

なんてことはできないので
あくまでも私個人が気になった所として
捉えていただけると嬉しいです。

まず1つ目はルビ振りの多さですね。

最初の召喚者の登場シーンから
このコマだけで5つ入っています。

他にも

「大工房(アーク・アトリエ)」

だったり

「反則技能(チートスキル)
 工匠神の御手(トバルカインズハンド)」

だったり

通常の会話でも

「技能(スキル)」
「神(オレ)」
「異世界人(サルガキ)」


などルビ振りが大量に出てきます。
これが戦闘になるともっとすごくて…

「膝当て(グリーヴ)の
 特異技能(ユニークスキル)
 瞬神加速(ブーストヘイスト)」


とか

「前腕当て(ヴァンブレイス)の
 特異技能(ユニークスキル)
 完全魔術行使(マスターマイモン)
 炎熱焔嵐(フレアストーム)」

だったり

「能力値(ステータス)」
「妨害(ジャミング)」
「鑑定(アナライズ)」
「上級鑑定(ハイアナライズ)」


などなど、BLEACHもびっくりの
ルビ振りの多さです。

こういうのが好きな人ももちろん多いとは
思いますが、私は結構気になってしまうので
もう少しシンプルな方がいいなと感じました

続きまして…
「キャラや国が頭に入ってこない」
というところですね

異世界召喚者がたくさん出てきますが
特徴的な見た目をしてる人もいれば

ボスなのにモブみたいな見た目をしてたり

ジルに似てるやつもいるんですよね。

さらにこやつらの部下も
たくさん登場するのですが

この獣人系の能力者の部下が

こういう獣人だったり

こんなやつもいたり
なんかボスよりクセが強い部下も多くて

「ん?これどっちだ?」

って思う場面が結構ありました。

あとこの作品、ストーリーのテンポがよく
色々な国が出てきます。

それに加えて

「魔術の王(マスターマギア)の居城
 天を穿つ賢者の塔(バビロンフォール)」


というような上記のルビ振り問題が重なって
すんなりと国名や情勢が入らないんですよね

さらに主人公が戦ってるところとは別の国の
話が差し込まれたりすることもあり
どこでなにが起きてるのかわかりにくい所が
多々ありました。

そして最後ですが

この作品のテーマ的に
仕方がないことではありますが

「ある程度なろう作品を読んでないと
 世界観がわかりにくい」


というところですね。
我々のように義務教育を終えていれば

「女神、異世界召喚、チート」

と、これだけである程度の
ことは把握できてしまいますが…

他のなろう作品を一切読まずに
本作を読んだら置いてけぼりに
なりそうではあります。

まぁなろうを一切知らない人は
そもそもターゲット層ではないと思うので
気にすることでもないとは思いますが。


と、色々と言いましたが

・なろう作品を読んでいる
・なろうの世界観で面白い作品を探している


というような方には間違いなく
オススメできる良作です。

久しぶりに熱中して漫画を
読むことができました。

まとめると

「異世界人(プロ界隈のベテラン漫画家)が
 
その世界住民(なろうの雑なコミカライズ作品達)
 を相手に無双する作品」


というところですかね。

気になった方はぜひ読んでみてください。

それではまた。

チートイーター(1)
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